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『しあわせな王子』は本当に幸せだったのか?                 子ども時代の感動と、大人になって感じた違和感

こんにちは🌿フクです✨

絵本 しあわせなおうじ オスカー・ワイルド原著


子どもの頃、私はこの『しあわせな王子』の絵本を読んで、思わず涙をこぼした記憶があります。
キラキラと輝く王子の像が、自分の宝石や金箔を次々と差し出して、困っている人々を助けていく姿。
そして、そのそばにはいつも小さなツバメがいて――。

彼らのやさしさと友情に胸を打たれ、ツバメが死んでしまう場面では、ただただ悲しくて泣きました。
けれど、大人になってから読み返したとき、かつてとは違う感情が湧き上がってきました。

あのとき感じた感動とは少し違う、どこかひっかかるような“違和感”。

「これは本当に“しあわせな”物語なのだろうか?」という問いが、心に残ったのです。

原作オスカー・ワイルド
間所ひさこ 
出版社フレーベル館
出版年2016年
対象年齢6歳〜


子どもの頃に見た「優しさ」

王子は、自分の美しさをどんどん失っていくことを恐れず、人々のために身を削っていきます。
ツバメも寒さに震えながら、王子のために飛び回り、ついには命を落とします。

子供の頃の私は、そんな二人の“ひたむきな善意”を純粋に「美しい」と感じていました。
見返りを求めない思いやりに心が動き、「優しさってこういうことなんだ」と信じていたのだと思います。



大人になって気づいた「違和感」

でも、大人になった今、あの物語を読み返すと、少し胸が苦しくなります。
人々を助けるために、王子の像は装飾をすべて失い、最後には「もう役に立たない」として壊されてしまいます。

ツバメは、身も心も尽くした末に、寒さの中で静かに息を引き取ります。
ツバメの死後、王子の鉛の心臓は真っ二つに割れ、そんな王子の姿を見た街の人々は王子の像を壊し、鉛の心臓をツバメの亡骸の上に投げ捨ててしまいます。

王子のやさしさも、ツバメの献身も、誰にも気づかれず、報われることはありません。

「これで本当に“しあわせ”だったの?」という疑問が、消えずに心に残りました・・





親になって芽生えた気づき

――「与えること」と「尽くしすぎること」は違う

この疑問の答えを探していく中で、私の中でひとつの思いが芽生えました。
それは、「与えること」と「尽くしすぎること」は、似ているようで全く違うということ。

私は今、子育てをする親の立場にいます。
子どもを思えば、なんでもしてあげたくなります。
困っていれば助けたいし、悲しんでいれば守ってあげたくなります。

でも、ときには“与えない勇気”が必要なこともある。

子どもが自分で悩み、考え、失敗することも、大きな学びになります。
なんでもかんでも与えてしまえば、かえって子どもの力を奪ってしまうこともあるのです。

だからこそ、王子とツバメの「与えつくす姿」に、今はどこか危うさを感じてしまうのかもしれません。

見る角度が変わると見え方ってガラッと変わってくるんだね✨


小学2年生の息子がくれた、もうひとつの視点

先日、小学2年生の息子がこの絵本を読んだとき、こんなことを言いました。

「なんで人は王子の像を作ったの?どうせ壊すなら、最初から作らなければよかったのに。」

私はその一言に、はっとさせられました。
子どもは、大人が流してしまう矛盾を、真正面から見つめて問いかけてきます。

そうなんです。

王子の像は、きらびやかで立派なうちは称賛されるけれど、見た目を失ったとたん「用なし」とされ、捨てられてしまう。

人々は王子の“心”ではなく、“外見”しか見ていなかったのです。

現実社会でも、昨日まで持て囃されていた有名人が今日にはどん底に落とされていたり、興味関心を失った世間の風当たりは確かにとても厳しく辛いものがあります。
息子の言葉は、私に「本当の価値ってなんだろう?」という問いを、あらためて投げかけてくれました。


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それでも、王子は“しあわせ”だったのか?

物語の最後、天使は「この町で最も尊いもの」として、ツバメと王子の鉛の心を天に連れていきます。
この場面には、誰にも知られなかったふたりの善意が、神の視点ではちゃんと見えていたという救いが込められています。

そしてもうひとつ、見逃せないのは――

王子もツバメも、誰かに命じられたわけではなく、自分の意思で人々のために行動したということです。

「してあげた」のではなく、「したいからした」。

それは決して“かわいそうな犠牲”ではなく、自ら選んだ生き方であり、最後までブレなかった信念でした。そう思えば、王子はたしかに“しあわせ”だったのかもしれません。

それは、外から与えられる幸せではなく、「誰かのために心を尽くすことができた」という、内なる満足だったのだと思います。

誰かからの評価じゃなく、自分の心に従った王子とツバメさん✨でも自分の愛する人だったら、もっと自分を大切にしてと言わずにいられないかも・・・


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まとめ

『しあわせな王子』は、読む年齢や立場によって、まったく違った顔を見せてくれる絵本です。

子どもの頃の私は、無条件に「やさしさって素晴らしい」と思っていました。
けれど、大人になって、親になって読み返した今は、「やさしさのあり方」について、考えるようになりました。

絵本は、子どもだけのものではありません。
人生経験を重ねたからこそ、見えてくる世界があります。

もしあなたも、昔読んだ絵本をもう一度開いてみたら――
かつてとは違う“物語の声”が聞こえてくるかもしれません。

もし今、忙しい毎日の中で「本当に大事なものって何だろう?」と感じることがあったら、この絵本を、静かな時間に読んでみてほしいなと思います。

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今度はおばあちゃんになった時、この物語がどう見えてくるのか楽しみだよ✨

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 ▷ 絵本 裸の王様




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